トップ 元気です岩手!リポート いわてwebコンテンツグランプリ2011 県民ブロガー 被災地MAP

いわてwebコンテンツグランプリ2011 優秀賞受賞作品

岩手の復興、そして岩手の未来のために、インターネットを通じてできることを考え、多くの県民が参加できるコンテスト」として開催された、「いわてwebコンテンツグランプリ2011」の優秀賞受賞作品11点が決定いたしました。

 
みらいのいわて絵画コンクール部門 優秀賞
ぼくは救急隊員
p_26ぼくは救急隊員
たかはし しょう
徳田保育
パワーショベルの運転手
p_27パワーショベルの運転手
よしだ むげん
徳田保育
三りくの夕日

p_35三りくの夕日

くどう まさと
久慈市立平山小学校
ホタルがふる夜
p_37ホタルがふる夜
かまた はるか
北上市立飯豊小学校
22せいきのまち

p_45 22せいきのまち
むらお しゅうすけ
普代村立普代小学校
私の好きな岩手
p_46私の好きな岩手
あわつ なるみ
宮古市立重茂小学校
シャボンダマのあるふしぎな世界
p_86シャボンダマのあるふしぎな世界
こやち なつお
北上市立黒沢尻北小学校
なくなった人と話せる電話をつかっている僕
p_89なくなった人と話せる電話をつかっている僕
たかはし りゅうき
北上市立黒沢尻北小学校
なかよし村
p_138なかよし村
ほんだ りさ
北上市立黒沢尻北小学校
きれいな未来
p_152きれいな未来
やまなか だいすけ
北上市立黒沢尻北小学校
佳作
いわてのたから:おばら あおい  みらいのいわて:にわ まさむね  津波なんかに負けない:むろの みさき  ぎんが鉄道が楽しい岩手のみらい:さいとう しょう みんながわらうとても楽しい町:ふくし もえ わらいの国:いとう りく 未来の幸せ:おいかわ なな 家がこわれても大じょうぶ:ささき さき 岩手の未来予想図:ちば まどか 賢治さんの理想「ドリームランド」:すがわら みゆ

※webコンテンツグランプリ(いわてのみらい絵画コンクール部門)審査会において、審査員と事務局との協議により、審査員特別賞として優秀賞10作品に加え、佳作10作品を選出致しました。
   
Webエッセイ部門 優秀賞
みらいのかけら
p_152きれいな未来
ポラリス
自営業
佳作
イワテノタカラ
e_1イワテノタカラ
ちぃちぃ
主婦
今を生きて 未来に生きる
184_e_3今を生きて 未来に生きる
高橋 翼
学生

絵画部門審査員講評

斎藤 純 (さいとう じゅん) 作家、岩手町立石神の丘美術館芸術監督 他

楽しい審査会でした。こんなに楽しい審査会はめったにあるものではありません。そして、とても勇気づけられる審査会でもありました。これもめったにあるものではありません。

どれも思いがいっぱい詰まった素敵な作品ばかりでした。絵だけではなく、添えられたコメントも含めて審査しました。コメントも愉快なものが多く、審査には苦労しました。 笑みを誘う作品が多かったと思います。でも、その笑みの向こう側に言いようのない悲しみも感じられました。改めて言うまでもなく、東日本大震災の影響です。

「子どもたちはこんなふうに東日本大震災を受けとめ、こんなふうに乗り越えようとしているんだな」

そう思いながら、一枚一枚の作品を丁寧に拝見しました。その過程で私は勇気づけられていきました。また、子どもたちは大人たちが思っている以上に、あるいは大人たちとは違った視点で、世の中のことをしっかりと見ていることに気づかされもしました。

全部を優秀賞にしたいくらいでしたが、私はきれいにまとまった作品よりも、画用紙からはみ出てしまいそうな勢いのある作品が好きです。どうやら原田館長もそのようでした。だから、優秀賞には画用紙に描かれていないところまで見せてくれるような作品が選ばれたと思います。

たくさんの応募作品の中から優秀賞候補となる20作品に絞り込んだ事務局も大変だったと思います。最終候補作を見て、とても真摯な姿勢を感じることができました。この場を借りて、敬意を表しておきたいと思います。また、岩手県立美術館の原田館長とご一緒させていただいたことも私にとっては得難い経験となりました。ありがとうございました。

原田 光 (はらだ ひかる) 岩手県立美術館館長

絵を描いてくださった人は、その絵にそえて、なぜこれを描いたかということを書いてくださいました。長いのも短いのもありました。あの大災害に心を痛めながら書いたにちがいないこれらの文章には、けれど、元気を取り返し、未来のほうを目指してゆこうよ、そういったメッセージがこめられていると思えました。それだけに、そのみなさんの心持ちを審査にかけるというようなことはできないと覚悟しました。いったん文章のことは忘れたふりをして、そうしてなお、おもしろくてユニークだと思えた絵を選んでみました。

保育園、小学校低学年の子たちの絵は、やはりとてもおもしろかったです。ですが、オヤッと思った点もあります。救急車の中を描いた絵とパワーショベルの絵がありました。被災地で見たのかもしれません。テレビで見たのかもしれません。これは現実の光景なのです。齢の小さな子のつかまえた現実の光景に目をうばわれました。それを、実に軽々と絵の光景にしていて、みごとなものです。

小学校の中学年ころの子たちになると、現実の光景を頭の中で整理し、意味や時間を置きかえたりの工夫をこらして、それこそ未来にむけて発信しているような絵が多くなっています。絵具もマーカーのような材料を使い、説明的に描いています。一例ですが、亡くなった人と話せる電話ボックスなどは、痛切なユーモアです。自然とふっとシャボン玉のわきだす街もでてきて、説得力があります。そういうのがあって、その中で、多くの子たちは、未来を夢想しています。静かな生活の未来もあれば、空に展開してゆく未来もあり、それらを含めて、故郷の岩手をもっとうんと豊かなものとして夢想しています。この夢想の力が大切なのだと、絵を見ながら、そう思いました。

webエッセイ部門審査員講評

近衛 はな (このえ はな) 女優、脚本家、希望郷いわて文化大使 他

震災から一年。
今回応募していただいた三作品には、この一年を生きた実感が込められていて、それぞれに強い思いがありました。 メッセージの重さをはかることはできないと感じました。審査の基準とさせていただいたのは、どれだけ伝わってくるかという"表現の質"の一点です。

高橋さんの「今を生きて 未来に生きる」は、イラストと文章による作品で、未来への歩みを鼓舞するような強い意志が感じられました。しかし、"表現"として見た時、自己完結的な印象もあり、伝わりにくいと感ずる部分もありました。

ちぃちぃさんの「イワテノタカラ」は写真と文章により、子供たちに伝えてゆきたいメッセージを、ブログ風に綴った作品でした。開かれた表現で、三作品の中では最もwebコンテンツとしては適したものであったかもしれません。ブログという表現の可能性を感じさせてくれました。

ポラリスさんの「みらいのかけら」は、文章のみによるエッセイ作品でした。「みらいはある日突然出来るものでなく、ずっと続く毎日の先にある」という作者の気付きが、文章のなかから実感として伝わってきました。爽やかな読後感のエッセイで心動かされました。

澤口 たまみ (さわぐち たまみ) エッセイスト、絵本作家

「わたし」らしさを大切に


今回の審査に当たり、応募点数が少なかったのは、少しさびしく思いました。「webエッセイ」という目新しいジャンルに、皆さん、いったいどのような作品を仕上げればよいのか、お迷いになったのかも知れませんね。

そもそも「エッセイ」とは、自身の体験に基づいて書かれた、多くは短めの文章を指します。そのため、エッセイ作品を審査する際には、「その人でなければ書けない経験や思いが、どれだけ表現されているか」という点に気をつけて、読ませていただくようにしています。

今回は、ウエブ上で発表されることや、画像を添えてもよいことなど、「webエッセイ」ならではの特徴があったのですが、それでもやはり、エッセイとして大切な部分は「その人らしさ」であろうと、私は考えました。
「『イワテノタカラ』」は写真を、「今を生きて未来に生きる」はイラストを添えた作品で、いずれも、希望にあふれた魅力的なメッセージが表現されていました。が、それらのメッセージのベースとなっている「わたし」については、あまり書き込まれていなかったように思います。もう少し、書き手の人となりが見えてくると、より味わい深い作品になっただろう、と感じました。

いっぽう「みらいのかけら」は、今を生きる子どもたちのランドセル姿に重ねて、作者自身の子どものころを回想したうえ、未来に向けて、今やるべきと思われる事柄を、具体的に示しています。エッセイとしては十分に表現されているのですが、文字だけの作品であったために、映像を添えた他の二作品に比べ、寂しい感じがしたことも否めません。

したがって、どれを優秀賞にするべきか、大いに悩んだのですが、近衛はなさんとも協議の結果、エッセイとしての完成度において「みらいのかけら」が一歩先んじていると、判断させていただきました。