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『たい焼の魚拓』 宮嶋康彦
「たい焼き」絶滅危惧種の「レッドデータブック」 2010年7月1日(木)
『たい焼の魚拓』
- 宮嶋康彦
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- 小JTB
- 1,500円(税別)
- 2002年2月発行
タイトル横に「絶滅寸前『天然物』たい焼37種」とある。焼き型で何匹もまとめて焼くのではなく、昔ながらの1匹焼きが天然物。それが絶滅の危機に瀕しているという。この本は、魚拓による絶滅危惧種の「レッドデータブック」なのである。日本各地の天然たい焼37匹の体長、体重、値段、採取地などを、それぞれのエピソードとともに紹介している。著者はあくまでも大真面目である。
その37匹の中に、岩手県盛岡市の幸栄堂という店のたい焼が紹介されている。ここは2匹焼きだったという。冬の岩手で石川啄木と高村光太郎を思い出し、著者はこの店のたい焼に「詩人たい」と名付けた。
残念なことに、もうこの店はない。まちで愛されてきた小さな店も、天然物のたい焼と同じ境遇にあるのかもしれない。ちょっと、寂しくなった……。