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『盛岡冷麺物語』 小西正人
「盛岡冷麺」を生み出した一人の男の物語 2010年9月7日(火)
『盛岡冷麺物語』
- 小西正人
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- リエゾンパブリッシング
- 980円(税別)
- 2007年12月発行
盛岡三大麺のひとつ盛岡冷麺。いまや全国的な認知度を誇る、ご当地グルメと言っていい。しかし、その内側に秘められたストーリーは、市民もあまり知らなかった。盛岡の出版社から生まれた本書は、そんな盛岡冷麺の誕生秘話を解き明かす内容を通じて、ふだん何気なく食べていた人たちに、改めて「盛岡冷麺とは何か」という問いを投げかけた。
著者は朝日新聞記者。盛岡支局に赴任していた1993年、朝日新聞岩手版に「冷麺物語」を連載した。その連載記事と盛岡冷麺に関する講演やシンポジウムの内容をまとめたのが、この本である。「はじめに」の中で著者は、「これは『冷麺』についての本ではありません。(中略)『盛岡冷麺』を生み出した青木輝人さんという一人の男の物語であり、青木さんの後を追い、冷麺を作り続ける人々の物語です。」と綴っている。
朝鮮半島出身の故青木さんの半生、冷麺を受け入れた盛岡のメンタリティ、韓国•朝鮮をルーツとする人たちの想い…。決して軽いテーマではないけれど、入念な取材に基づく文章は、一気に読ませる力をもっている。読んだらその足で、盛岡冷麺を食べに行こう。