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『遠野物語と怪談の時代』 東雅夫
新たな位置づけで「遠野物語」を読み解く 2010年10月6日(水)
『遠野物語と怪談の時代』
- 東雅夫
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- 角川選書
- 1700円(税別)
- 2010年7月発行
柳田國男の『遠野物語』が発刊されて100年。地元の遠野市では今年、「遠野物語百周年」と銘打ち、さまざまな記念イベントが行われてきた。関連出版物も数多く刊行されている。
本書の著者は、『幻想文学』編集長を経て、怪奇幻想文学のアンソロジスト、評論家。現在、怪談専門誌『幽』の編集長も務める。ホラー・怪談評論の第一人者として、多数の出版企画に携わっている。
その著者が、『遠野物語』は日本民俗学の記念碑というだけでなく、「怪談実話集」と呼ばれて然るべき書物としての顔が隠されていると書く。柳田は若い頃から怪談に関心を寄せていた。『遠野物語』が刊行された明治後期から大正時代にかけて、世の中に怪談ブームが巻き起こり、柳田國男や泉鏡花ら文化人が「怪談会」に熱狂していたという。その実態をひも解き、名著が生まれた経緯を探る。
怪談文芸作品という新たな位置づけで『遠野物語』を読み解くと、その世界は今までと違って見えてくるだろうか。