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- 『百年の誤読』
『百年の誤読』 岡野宏文•豊崎由美
ここまで言うかの連続 2010年12月28日(火)
『百年の誤読』
- 岡野宏文•豊崎由美
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- ちくま文庫
- 880円(税別)
- 2008年11月発行
「ベストセラーの正体って、もしかしてひょっとして、万が一…ヘナチョコ?」(岡野)
「二十世紀のベストセラーを語り尽くす本が作れたらいいね」(豊崎)
ということで、本読みふたりが20世紀100年間のベストセラーを読み、語りつくしたのが本書。タイトルは、お察しの通り、ガルシア・マルケス『百年の孤独』から。それにしても、ここまで言うかの連続で、かなり面白い。ベストセラーも、ベストセラーをつくった読者も形無しである。岩手関連では、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』と高村光太郎『智恵子抄』が取り上げられている。賢治については「天才的な擬音センス」と評し、光太郎は「とにかく同じことを何度も何度も何度も……くどいっ!」とバサッリ。痛快な対話が続く。
蛇足ながら、カバーデザインについてふれさせてほしい。デザインは南伸坊。気がつきました? この絵は「五徳」です。若者は知らない物体かも。それはさておき、「孤独」「誤読」「五徳」。ああ、やっぱり蛇足だった。