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『君に舞い降りる白』 関口尚
大人もたまには青春小説を 2010年12月28日(火)
『君に舞い降りる白』
- 関口尚
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- 集英社文庫
- 619円(税別)
- 2007年9月発行
「心地よい読後感」と、解説にある。その通りだと素直にうなずける青春恋愛小説だ。盛岡市を舞台に物語が展開する。町名はもちろん、夏祭りの「さんさ踊り」が出てきたりするので、盛岡の街を知る人はどこかリアルな感覚を覚えるだろう。著者は岩手大学に学んだそうで、なるほど街をよく知っているわけだ。
主人公は、石を売る店「石の花」でアルバイトをする大学生の修二。もう誰も好きにならないと心に決めていたが、店に来る少女・雪衣のことが気になり始める。しかし彼女には、なにか秘密がありそうだ……。バイト先の社長、バイトの先輩、別れた恋人など、修二を取り巻く人間関係も、さまざまに変化する。人と関わって生きていくのは簡単なことではないが、人を想う気持ちはいいよね。なんてことを考える。いい大人になっても、ときにはこういう心地よい青春小説をきちんと読んでみたいものだ。