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『楽園にようこそ』 高橋克彦
かつても今も東北は楽園である 2011年7月26日(火)
『楽園にようこそ』
- 高橋克彦
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- NHK出版
- 1300円(税別)
- 2007年9月発行
「平泉の文化遺産」が世界遺産登録されてから、平泉には大勢の観光客が訪れている。復興の象徴的存在として、浄土の風を送ってほしいと願うばかりだ。
平泉や岩手の歴史をたどるとき、いつも著者のことを思う。岩手に住み、東北を舞台とするさまざまな物語を書いてきた。本書はエッセー集で、その書名は「かつても今も東北は楽園である」という思いから。あとがきに「この本の底に流れているのは『炎立つ』で得た私の東北の隠された歴史への思いと蝦夷への愛である」とある。岩手や東北を愛してやまないことがひしひしと伝わり、読むほどに勇気がわいてくる。
でも、そんなに構えて読むことはない。「私の好きなもの」という章では、大好きな歌手•広田三枝子さんやプレスリーのこと、コレクションのことなども。興味の幅が広い著者の「好きなもの」を垣間見られるのも、ちょっと楽しい。