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『12の贈り物』 長尾宇迦ほか
12人の作家の祈りがこめられた1冊 2011年9月11日(日)
『12の贈り物』
- 長尾宇迦ほか
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- 荒蝦夷
- 2000円(税別)
- 2011年8月発行
「東日本大震災支援岩手県在住作家自選短編集」と副題にあるように、県内の作家12人の作品を集めたアンソロジー(選集)。作家の祈りがこめられた1冊で、その印税は震災の義援金となる。参加作家は収録順に、長尾宇迦、及川和男、柏葉幸子、中津文彦、高橋克彦、斎藤純、松田十刻、北上秋彦、平谷美樹、菊池幸見、大村友貴美、石野晶(敬称略)。それぞれの作品の冒頭には「作者から」として、震災にまつわるエピソードやメッセージが添えられている。
被災地支援という目的で、作家が集ったことに感銘を受けた。さらに、多くの作家が岩手に暮らしながら、作品を世に送り出していることに感動を覚える。本書を編集した本県在住の脚本家・道又力さんは解説「岩手で書き続ける作家たち」の中で、「岩手の文学の豊かさを広く知らしめることは、郷土への誇りを高め、被災地復興の思いを一段と強めさせるに違いない」と書く。
岩手の人たちにとっては、本書が誇りと明日への勇気の源になることを、そして岩手以外の人たちには、岩手の作家の魅力を知る1冊になることを願う。