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『東日本大震災 心をつなぐニュース』 池上彰+文藝春秋 編
地方紙の役割を再認識させられる一冊 2011年9月28日(水)
『東日本大震災 心をつなぐニュース』
- 池上彰+文藝春秋 編
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- 文藝春秋
- 952円(税別)
- 2011年6月発行
わかりやすいニュース解説でおなじみのジャーナリストと、「活字の力で、人々を勇気付けられないか」と考えた文藝春秋の社内ボランティアが、現場から届けられた温かい話を読者に届けようと、地方紙の記事をまとめた。本の収益は全額、被災者支援に充てられるという。
表紙写真の女の子に見覚えがあった。地元紙•岩手日報に掲載されていたのだ。姉妹は自宅アパートを流されたにも関わらず、「人のために何かがしたい」と救援物資を背負い、3食欠かさず高台の避難者に届けた。本書の第三章「支えあう心」の中で紹介されている。
第二章の殉職者の話には胸が詰まる。身を挺して地域の人たちを救おうとした人たちがいたことを忘れてはいけない。一方で、奇跡の生還や救出のエピソード、復興に向けて立ち上がろうとする人、希望の光となる新しい命の誕生など、心に小さな灯りがともるような記事もある。読み進めるほどに、地域に寄り添う記事の力が伝わってくる。地方紙の役割を再認識させられる一冊でもある。