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『若き友人たちへ』 筑紫哲也
考えましょう。もっと幸せになっていいのです 2011年10月31日(月)
『若き友人たちへ―筑紫哲也ラスト•メッセージ』
- 筑紫哲也
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- 集英社新書
- 720円(税別)
- 2009年10月発行
あの人だったら、この状況をどのように見て、どんな言葉を発するのだろう。目の前に困難が立ちはだかるとき、感動の瞬間に立ち会ったとき…。そう思う局面はたくさんある。
「あの人」はいろいろあろうが、この人はどうだろう。
著者はもともと新聞記者で、初任地が盛岡だった。どちらかというとニュースキャスターとしてなじみの深い人が多いだろう。多忙なニュースの仕事の傍ら、早稲田大学と立命館大学で講義をしていたという。
「この何年か講義をしてきて、私なりに遺しておきたい言葉がある」ということで連載を始めたが、病の進行により2回で中断。本書はその原稿2編と、ふたつの大学の講義録をもとに構成されている。
憲法について、沖縄について、ジャーナリズムについて。新渡戸稲造の『武士道』も取り上げられている。
読み進めながら、「筑紫さんだったら」と思いをめぐらす。そして、「じゃあ、自分は」と問う。この国の行方や幸せについて考えてみる。答えは出てこないが、考えることをあきらめてはいけない。
「考えましょう。もっと幸せになっていいのです」という言葉に深くうなずく。