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『宮澤賢治に聞く』 井上ひさし こまつ座
宮澤賢治が「ざしき童子」となって現れた 2012年1月30日(月)
『宮澤賢治に聞く』
- 井上ひさし こまつ座
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- ネスコ
- 1,600円(税別)
- 1995年9月発行
東京•浅草橋にあるこまつ座に、宮澤賢治が「ざしき童子」となって現れた。著者は、子どもの頃から会いたいと願っていた賢治にインタビューを始めた…。という展開の架空インタビュー「宮澤賢治に聞く」をはじめ、賢治の人生をたどる「宮澤賢治はこう生きた」、著者の講演録「賢治の世界」など、賢治を多面的に読み解いていける内容である。
なかでもいちばん楽しいのは、架空インタビュー。「ぼくのありのままの姿を見てください」と、聖化されることを拒む賢治に対し、あなたは素晴らしいと畳みかける著者。擬声語や日本語についても語り、ひと息ついたところに、今度は石川啄木が登場する。そして「賢治と啄木に聞く」が始まった。
賢治ならそういうだろうなあ、この発言は啄木らしい、ついに借金話が出てきたぞなどと、ニヤニヤしながら読んでいるうちに、ふと思った。故人となった著者は、もうふたりに会って、本当にインタビューをしているのだろう、と。
この本は、文春文庫から発行されている(税込650円)ので、そちらでどうぞ。