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『もりおか暮らし物語読本 めん都もりおか』 松田十刻
食文化の奥は深い 2012年2月18日(土)
『もりおか暮らし物語読本 めん都もりおか』
- 松田十刻
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- もりおか暮らし物語読本刊行委員会
- 952円(税別)
- 2010年12月発行
盛岡のイメージのひとつは、麺のまちであることではないだろうか。
「わんこそば」「盛岡冷麺」「盛岡じゃじゃ麺」の盛岡三大麺は、いわばこのまちのブランドだ。そして、市民のソウルフードでもある。とはいうものの、意外に食文化として定着した経緯や、それぞれの麺にまつわるエピソードなどについて詳しく知らないことも多い。ということが、本書を読むとよくわかる。
たとえば、わんこそば。そのルーツは、盛岡南部藩のお殿様に関わっている。わんこそばに似た食べ方は、盛岡や花巻だけでなく、県北地方にもあったという。岩泉地方のそば給仕には作法があり、それを「おセエメンこ」とか「おセエセンこ」とか呼んだらしい。「それって、どんな意味?」と、クエスチョンマークが並ぶ。食文化の奥は深い。
第一章から第三章で、三大麺の知識を得たあとは、第四章「『麺食い』たちのエピソード」で原敬・石川啄木・宮沢賢治と麺とのかかわりについて知る。啄木の日記には、年始のご馳走で「蕎麦十六杯を喰ふ」とあるとのこと。
そうか、啄木もわんこそば(のような食べ方)を経験していたのか。「はい、じゃんじゃん」とは言われなかっただろうけれど。