- ホーム
- 岩手さん.com気まぐれ本棚
- 『ないないづくしの起業術』
『ないないづくしの起業術』 大和田聡子
まさに「わらしべパン屋」なのである 2012年2月18日(土)
『ないないづくしの起業術』
- 大和田聡子
- *****************
- 中公新書ラクレ
- 780円(税別)
- 2010年12月発行
専業主婦がパンに夢中になり、独学でパンづくりの勉強を始めて、ついに自宅でパン屋を開店。自らを「お金も技術もコネもない、『ないないづくしのひとりパン屋』」と称し、それが本書のタイトルになっている。でも、よく読んでいくと、情熱はあるし、そこから人間のつながりができていくし……、別の見方をすると「あるある」かも。人のつながりが新たな展開を生んで、次につながっていく。まさに「わらしべパン屋」なのである。
著者は東京生まれの盛岡育ち。父親が盛岡市にある東北農業試験場に赴任したことで、岩手との縁が生まれた。その父が開発した小麦「コユキコムギ」が、わらしべとなった。この小麦でパンを焼いていたが、ある年、コユキコムギの作付けがゼロに。そんな危機を、著者はやはり熱い想いと人とのネットワークで乗り切った。そして、岩手での農家パン屋のプロデュースへと、わらしべはつながっていく。
パンからソーシャルビジネスへ。起業したい人のひとつのヒントになりそうだ。それにしても、読むほどにパンが食べたくなってきたなあ。